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冷凍弁当を味方にする暮らしのススメ
「毎朝のお弁当作りがしんどい」「仕事から帰ってからごはんを用意する気力がない」。そんなときに心強い味方になってくれるのが、あらかじめ作っておいて凍らせておく「冷凍弁当」です。
冷凍弁当と聞くと、「味が落ちるのでは？」「解凍したときベチャッとしそう」といったイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、いくつかのポイントさえ押さえておけば、見た目も味も満足できるお弁当を、短い時間で用意できるようになります。
この記事では、手作り冷凍弁当の基本から、冷凍に向くおかず・向かないおかず、1週間分の仕込み方、市販の冷凍弁当の選び方まで、日々の暮らしに取り入れやすい形でご紹介していきます。
冷凍弁当が人気を集めている理由
冷凍弁当が注目されている大きな理由のひとつは、「時間と気力の節約」です。朝、何もないところからお弁当を作ろうとすると、献立を考え、材料を出し、調理し、冷まして詰める…と、どうしても時間とエネルギーが必要になります。
いっぽう、あらかじめまとめて作って冷凍しておけば、「冷凍庫から取り出して、お弁当箱に詰めるだけ」「電子レンジで温めるだけ」で食事の用意が完了します。忙しい平日にかける時間をぐっと減らしつつ、自分や家族のために用意したごはんを楽しめるのが、冷凍弁当の大きなメリットです。
また、食材をまとめて調理して冷凍しておくことで、買ったのに使い切れず傷ませてしまう…といった「もったいない」を減らすことにもつながります。結果的に、食費の見直しや、冷蔵庫の整理整頓にもつながりやすくなります。
手作り冷凍弁当と市販品、それぞれの良さ
冷凍弁当には、大きく分けて「自分で作って凍らせるタイプ」と、「市販の冷凍弁当・冷凍おかずを活用するタイプ」があります。どちらか一方だけにこだわる必要はなく、ライフスタイルに合わせて組み合わせるのがおすすめです。
手作りの冷凍弁当は、好みの味つけや食材で作れるのが魅力です。家にある調味料でシンプルに仕上げたり、自分や家族の好みに合わせて味の濃さを調整したりしやすくなります。また、「今日は野菜多めにしたい」「ご飯は少なめにしたい」など、そのときの気分に合わせたバランスで詰められるのもメリットです。
一方、市販の冷凍弁当や冷凍惣菜は、「とにかく時間がない」「今週は忙しくて仕込みの余裕がない」というときに頼りになります。メインおかずだけ市販の冷凍食品にして、副菜は手作りの冷凍おかずを合わせるなど、ハイブリッドに使うことで、無理なく続けやすくなります。
冷凍に向くおかず・向かないおかず
冷凍弁当をおいしく楽しむためには、「冷凍に向くもの」と「向きにくいもの」を知っておくことが大切です。向いているおかずを中心に組み立てることで、解凍後の食感や見た目がぐっと良くなります。
一般的に、冷凍に向いているとされるのは、次のようなおかずです。
・鶏の照り焼き、豚の生姜焼きなど、しっかり味のついた肉料理
・ひじきの煮物、切り干し大根などの煮物
・ほうれん草や小松菜のごまあえ・おひたし
・卵焼き（やや甘め・やや濃いめの味つけにすると崩れにくい）
・ハンバーグやつくね、ミートボールなどの肉だね系
・きんぴらごぼうやレンコンのきんぴら
これらは、味がしっかりしていて水分量の調整もしやすく、解凍後も比較的食感が保たれやすいのが特徴です。
逆に、冷凍すると食感が変わりやすい例としては、次のようなものが挙げられます。
・きゅうりやレタスなど、生のまま食べる水分の多い野菜
・マヨネーズをそのまま使ったサラダ（解凍時に分離しやすい）
・揚げたてのカリッとした食感を楽しみたいフライ類（パン粉の厚さなどで工夫は可能）
これらが絶対に冷凍できないわけではありませんが、工夫が必要な場合が多くなります。たとえばサラダであれば、冷凍せず別容器で持っていく、フライであれば衣を薄めにしたり、ソースでしっとり食べる前提で作るなど、前提を変えると使いやすくなります。
冷凍を前提にした味つけと水分調整
冷凍弁当を作るときのポイントとして、味つけと水分量の調整があります。冷凍・解凍を経ると、どうしても味がぼんやり感じやすくなることがあります。そのため、ふだんの食事よりも少しだけしっかりめに味をつけておくと、解凍後にちょうど良く感じやすくなります。
また、水分が多いまま冷凍すると、解凍したときにおかずから水が出てしまい、ご飯がベチャッとする原因になります。煮物や炒め物は、最後に火を強めて余分な水分を飛ばしてから冷ますようにすると、冷凍弁当に使いやすい仕上がりになります。
ただし、必要以上に味を濃くしすぎると、のどが渇きやすくなったり、最後まで食べるのが重く感じてしまうこともあります。実際に作ってみて、「もう少し薄くても良さそう」「このおかずはこの味でちょうどいい」など、自分なりの基準を見つけていくのがおすすめです。
（次回は、1週間分の冷凍弁当をまとめて仕込む具体的な流れや、詰め方・解凍のポイントについて詳しく解説していきます。）
1週間分をまとめて仕込む冷凍弁当の作り方
ここからは、実際に「1週間分の冷凍弁当」をまとめて仕込む流れを具体的に見ていきます。全部を完璧にやろうとすると大変なので、「まずは2〜3日分から」「メインおかずだけ」など、自分のペースに合わせて取り入れてみてください。
基本の流れは、以下の通りです。
1. ざっくり1週間のメニューを決める
2. 買い物リストを作ってまとめて購入する
3. 肉・魚・野菜をそれぞれ下ごしらえする
4. メインおかず→副菜の順に調理する
5. 完全に冷ましてから、小分け容器に詰めて冷凍する
一度この流れを体験しておくと、「どのくらいの量で何日分になるのか」「自分にとって作りやすいおかずは何か」が見えてきて、回数を重ねるほど負担が軽くなっていきます。
メニューは「型」を決めておくとラク
毎回、ゼロから「何作ろう」と考えるのは、意外とエネルギーを使います。そこでおすすめなのが、「メイン1品＋副菜2品」といった具合に、弁当の基本構成をあらかじめ決めておく方法です。
たとえば、次のような「型」を用意しておくと、メニュー決めがぐっとラクになります。
・メイン：鶏・豚・魚・ひき肉などをローテーション
・副菜1：緑の野菜（ほうれん草、小松菜、ブロッコリーなど）
・副菜2：根菜・きのこ・豆類（ごぼう、にんじん、レンコン、ひじきなど）
この枠に当てはめるようにして、「今週は鶏の照り焼き＋ほうれん草ごまあえ＋ひじきの煮物」「次は鮭の塩焼き＋ブロッコリーの塩ゆで＋きんぴらごぼう」といった具合に決めていくと、バランスもとりやすくなります。
まとめ買い・まとめ下ごしらえのポイント
1週間分の冷凍弁当を仕込むときは、買い物リストを作ってからスーパーに行くのがおすすめです。頭の中だけで考えていると、「同じような野菜ばかりになってしまった」「肉の量が足りなかった」といったことが起こりがちです。
買い物が済んだら、まずは食材の下ごしらえからスタートします。
・肉：用途別に切り分けて、下味をつけておく（しょうゆ＋みりん＋酒など）
・魚：骨を抜き、切り身を1切れずつラップで包むか、下味冷凍にする
・野菜：使うサイズに切り分ける（乱切り、千切り、一口大など）
ここまで進めておくだけでも、「時間のあるときに仕込みだけ済ませて、調理は翌日に回す」といった柔軟な進め方ができます。どうしても全部を一日でやるのが大変なときは、「今日は下ごしらえだけ」と割り切るのもひとつの方法です。
冷凍用おかずのおすすめ調理順
実際にコンロを使う調理に進むときは、「傷みにくいものから先に」「味や匂いが強いものは最後に」といった順番で進めると、効率よく作業できます。
一例としては、次のような順番です。
1. 野菜の下ゆで（ブロッコリー、いんげん、ほうれん草など）
2. 煮物（ひじき、切り干し大根、レンコンやごぼうの煮物など）
3. 卵焼きやオムレツなどの卵料理
4. 肉じゃが、肉炒め、照り焼きなどのメインおかず
5. カレー風味やにんにくを使うおかず
匂いの強いおかずが先だと、あとから作るおかずに香りが移りやすくなります。できるだけ匂いの穏やかなものから順番に作ることで、キッチン全体もスッキリ保ちやすくなります。
冷凍に向いたお弁当箱と小分け容器
冷凍弁当を続けるには、「詰めやすい・重ねやすい容器選び」も大事なポイントです。おすすめは、冷凍庫内でスタッキングしやすい、長方形や正方形の保存容器です。
・浅めで、上下に重ねやすい形のもの
・フタの開け閉めがしやすく、パッキンの洗いやすいもの
・冷凍・電子レンジ加熱に対応しているもの
お弁当箱に直接詰めてから冷凍する方法もありますが、「今日はご飯少なめにしたい」「おかずだけ持っていきたい」といった日もあることを考えると、おかずだけ小分けにして冷凍しておくスタイルも使いやすくなります。
詰め方と冷凍前の「しっかり冷ます」が超重要
ごはんやおかずを詰めるときの共通ルールは、「完全に冷めてからフタをする」ことです。まだ温かいうちにフタをすると、容器内で水蒸気がこもり、霜や水滴の原因になります。これは、解凍後にベチャッとした食感になる大きな理由のひとつです。
ごはんは、炊きたてを熱いまま詰めるのではなく、一度バットなどに広げて少し冷ましてから詰めると、冷凍・解凍後も食感が保たれやすくなります。おかずも同様に、粗熱をとってから小分け容器に入れ、フタをする前に表面の水分を軽く拭き取ると、霜がつきにくくなります。
（次回は、冷凍弁当のおいしい解凍方法や、市販の冷凍弁当の上手な取り入れ方、続けるための工夫についてお伝えします。）
冷凍弁当をおいしく食べるための解凍・持ち運びのコツ
せっかく工夫して作った冷凍弁当も、解凍の仕方や持ち運び方によっては「水っぽい」「まだ冷たい」という残念な仕上がりになってしまうことがあります。ここでは、冷凍弁当をできるだけおいしく食べるための、実用的なポイントをまとめます。
自宅で食べる場合と、職場や学校に持っていく場合とでは、解凍方法や時間の感覚も変わってきます。それぞれのシーンに合わせて、自分なりの「定番パターン」を決めておくと、迷いが減ってストレスが少なくなります。
自宅で食べる場合の解凍方法
自宅で食べる場合は、電子レンジが使えるので、解凍の選択肢が広がります。冷凍弁当を冷凍庫から出したら、フタを少しずらして乗せるか、ラップをふんわりとかけてから加熱すると、容器内の蒸気が逃げやすくなり、ベチャッとしにくくなります。
加熱時間の目安は、容器の大きさや電子レンジのワット数によって変わりますが、「一度に長く加熱しすぎない」のがポイントです。まずは短めの時間（例：500Wで2〜3分）で様子を見て、足りなければ20〜30秒ずつ追加するようにすると、温めムラを減らせます。
ごはんの上に直接おかずがのっているタイプの場合は、一度おかずとごはんを軽くほぐしてから、もう一度少しだけ加熱すると、お弁当全体が均一に温まりやすくなります。
職場・学校に持っていく場合の解凍の考え方
職場や学校に冷凍弁当を持っていく場合、「午前中にゆっくり自然解凍して、昼に電子レンジで仕上げる」というスタイルが一般的です。朝の段階で凍ったままの弁当を持って出かけ、昼休みにレンジで温めると、ちょうど良い具合に解凍されています。
ただし、通勤時間や室温によって解凍具合は変わるので、最初の数回は様子を見ながら調整していきましょう。保冷バッグや保冷剤を併用している場合は、解凍にかかる時間が長くなるので、レンジの加熱時間を少し長めにすることもあります。
「レンジが使えない環境」の場合は、冷凍弁当ではなく、「冷蔵の作り置き弁当」と組み合わせるなど、スタイルを変えるのも一つの手です。保冷剤で食べる直前まで冷やしておけば、お昼ごろにはちょうどよく冷えた状態で食べられます。
保冷バッグ・保冷剤の使い方
特に気温が高い季節は、お弁当の持ち運びに保冷バッグと保冷剤の活用が欠かせません。冷凍弁当であっても、通勤時間が長かったり、職場に着いてから昼までに時間が空く場合は、できるだけ温度が上がりすぎないように配慮しておきたいところです。
保冷剤は、お弁当の上下や側面を挟むように配置すると、全体を均一に冷やしやすくなります。また、保冷バッグの内側にアルミシートがついているタイプは、外気の影響を受けにくく、温度が安定しやすくなります。
冷凍弁当の場合は、お弁当そのものが「冷たい固まり」なので、保冷剤の数は少なめでも足りる場合があります。最初のうちは保冷剤多めで試し、食べるときの状態（まだ半解凍なのか、ちょうど良いのか）を見ながら調整していくと、自分に合ったパターンがつかみやすくなります。
市販の冷凍弁当・宅配サービスの上手な活用法
冷凍弁当は手作りだけでなく、市販の冷凍弁当や宅配サービスも豊富にあります。「全部自分で作らなきゃ」と考えるとハードルが上がってしまいますが、「がんばれる日だけ手作りして、あとは市販品に頼る」という選択も、暮らしを続けやすくする大事な工夫です。
ここでは、市販の冷凍弁当や宅配サービスを選ぶときのポイントと、手作りとの組み合わせ方をお伝えします。
市販の冷凍弁当を選ぶときのチェックポイント
スーパーやコンビニ、ネット通販などで購入できる冷凍弁当を選ぶときは、以下のようなポイントを見ると、自分に合うものを見つけやすくなります。
・ご飯付きか、おかずのみか（自分のスタイルに合っているか）
・主菜と副菜のバランスが取りやすい構成か
・原材料表示を見て、好みの味つけ・食材が使われているか
・電子レンジでの加熱時間と、必要なワット数が生活スタイルに合っているか
「毎日同じものだと飽きてしまう」という場合は、いくつか種類の違う冷凍弁当をストックしておくと、その日の気分に合わせて選べます。特に忙しい週は、「メインは市販の冷凍弁当、副菜だけ手作り冷凍おかずを追加する」などの使い方もおすすめです。
宅配冷凍弁当サービスのメリット
近年は、ネットで注文して自宅まで届けてくれる宅配冷凍弁当サービスも増えています。宅配サービスのメリットは、まとまった数を一度に届けてもらえるため、買い物や調理の手間を大幅に減らせる点です。
仕事が忙しい時期や、家事と仕事を両立している方、小さな子どもがいて買い物が大変な方などにとっては、心強い選択肢のひとつになります。「毎日利用」ではなく、「忙しい時期だけ」「週に数回だけ」といったスポット的な利用の仕方もできるため、ライフスタイルや予算に合わせて柔軟に活用できます。
サービスによっては、和・洋・中・エスニックなど、さまざまなメニューをローテーションできるセットが用意されていることもあります。手作りではなかなか作らないようなメニューを楽しむきっかけにもなります。
手作りと市販を組み合わせる「ゆる冷凍弁当」のすすめ
冷凍弁当を続けるコツは、「全部を完璧にやろうとしないこと」です。たとえば、次のような組み合わせ方があります。
・メインおかずは市販の冷凍食品、副菜2品だけ手作り冷凍おかず
・逆に、メインだけ手作り冷凍おかずで、副菜は市販の冷凍惣菜を添える
・平日は市販の冷凍弁当、週末だけ手作り弁当を楽しむ
このように、「ここだけは自分でやりたい」「ここは無理なく外に頼りたい」という線引きを自分の中で決めておくと、冷凍弁当をストレス少なく習慣化しやすくなります。
冷凍弁当を無理なく続けるためのマインドと工夫
最後に、冷凍弁当を「がんばる家事」ではなく、「暮らしをラクにする家事」として続けていくための考え方と工夫をお伝えします。大事なのは、「少しでも自分の助けになっているならOK」とゆるく捉え、自分なりのペースを大切にすることです。
完璧を目指さないことがいちばんのコツ
冷凍弁当のSNS投稿などを見ていると、彩り豊かで美しいお弁当がたくさんあります。もちろん、見た目が整っていると気分も上がりますが、最初からそれを目指してしまうと、「自分には無理」と感じてしまうこともあります。
まずは、「茶色いお弁当でも、自分で用意したごはんなら十分」「今日は冷凍弁当があるだけでえらい」と、自分にやさしく声をかけるところから始めてみてください。冷凍弁当は、あなたの生活を支えてくれる道具のひとつであり、できない自分を責めるためのものではありません。
「〇曜日は仕込みの日」とざっくり決めておく
冷凍弁当を習慣化しやすくするために、「なんとなくこの曜日に仕込む」という目安を決めておくのもおすすめです。たとえば、日曜の夕方や、平日のうち比較的時間のある夜など、自分にとって取り組みやすい時間帯を選びましょう。
その日ぜんぶを仕込みに使う必要はなく、「今週はメインだけ」「今週は副菜だけ」といった具合に、できる範囲を柔軟に決めてOKです。キッチンに立つ時間そのものが負担にならないように、「今日はここまでできたら十分」と小さなゴールを設定しておくと、達成感を得やすくなります。
冷凍庫を「未来の自分へのプレゼント箱」にする
冷凍弁当づくりに慣れてくると、冷凍庫を開けたときに「今週も、ちゃんと自分のために準備してくれている」と、少しうれしい気持ちになることがあります。冷凍庫の中身は、過去の自分から、未来の自分への小さなプレゼントのような存在です。
疲れて帰ってきた日の夜、冷凍庫からお弁当を取り出してレンジで温めるだけで食事が用意できるのは、間違いなく自分を助けてくれる仕組みです。「また来週の自分を助けてあげよう」という気持ちで、できる範囲の冷凍弁当づくりを続けてみてください。
まとめ：冷凍弁当は「がんばりすぎない」工夫から
冷凍弁当は、忙しい毎日の中で、食事の用意にかかる時間や気力をやさしく支えてくれる方法のひとつです。冷凍に向くおかずを知り、味つけや水分量に少し気をつけるだけで、解凍後も満足しやすいお弁当に近づけていけます。
手作りだけにこだわらず、市販の冷凍弁当や宅配サービスと組み合わせることで、無理なく続けやすくなるのもポイントです。大切なのは、「完璧さよりも、続けやすさ」。あなたの生活スタイルに合った冷凍弁当の形を、少しずつ見つけていってみてください。
